2006年05月08日(月曜日)付
いずれは弟の親代わりにならなければいけない。増田美登(みと)さん(41)は、ごく自然にそう考えていた。六つ違いの弟はダウン症だ。
勤めていた外資系の証券会社が大阪から撤退する時、東京に移るか、会社をやめるかを迫られた。生まれ育った大阪が好きだったが、それ以上に、弟を残しては行けなかった。弟の面倒を見るには福祉を勉強しておいた方がいい。そう考え、大学に入り直して、2年間勉強した。
そのころ、知ったのが「全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会」だ。略称を「きょうだいの会」といい、きょうだいに障害者がいる人たちが集まり、悩みや困っていることを語り合っている。増田さんは「悩みがあったわけではないのですが、同じ立場の人たちといると、心が軽くなった」と語る。
きょうだいの会が発足したのは1963年だ。年に1度の全国総会が先月開かれた。会長を務める田部井恒雄さん(58)は、昨年亡くなった四つ下の弟が知的障害者だった。「きょうだいは親とは違います。それぞれが自立して暮らしながら、心を通わせ合うのがお互いのためにいい」と話す。
増田さんは4年前、埼玉で介護の仕事を見つけ、引っ越した。きょうだいの会の考え方に刺激されたところへ、「大阪以外でも仕事を探すやろ」と姉が背中を押してくれた。今は結婚して東京に住む。
弟は両親と一緒に暮らし、作業所に通っている。増田さんが将来の希望を聞くと、「一人暮らしをしたい」という答えが返ってきた。なんとか夢をかなえさせてあげたい、と増田さんは思っている。
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